私たちが生活や社会で使うあらゆるものに、プラスチックの部品や製品が使われています。家電、携帯電話などの精密機器、ゲーム機、工業機械、日用品、雑貨、文房具、化粧品などなど……
プラスチック製品には、それが果たす役割によってさまざまな素材・形状・サイズ・デザインがあります。
一般的にこれらの製品は、材料を成型、切削または試作→印刷→各種加工(彫刻や二次加工)→完成という流れでつくられます。
つまり、プラスチック加工製品の作りかたには、大きく分けて「成型」「切削」「試作」があるということになります。
成型では、あらゆる形状のもの、複雑な形状のものが作れます。金型があるため、大量生産に向いています。
しかし一方で、金型を作るための試作モデルを作る必要があり、ある程度の量も必要なため、時間とコストがかかります。金型も大きければ大きいほど高くなります。
また一度金型が完成すると、調整や変更が容易にできないため、生産数がきちんと決まっていないと発注しにくくなります。
非常に少ない個数しか生産しないときは、金型を作らず試作モデルで対応することもできますが、モデル製作は1個単位。スピーディで融通はききますが、効率が悪くコストパフォーマンスが低くなります。また、金型を作るほどでもない個数でも、試作モデルでの対応には多すぎる場合もあります。
切削加工はさまざまな応用がきくため、個性的でこだわりのある製品が可能です。
成型する場合のような金型が不要なので、時間もコストも抑えられるうえ、生産数量の調整もききやすいという大きなメリットがあります。従って、数量的に試作(10~100個単位)のレベルは超えるが、金型を作る(1万~10万個単位)ほどでもない場合には、切削加工が適しているといえます。
その特性によって、成型加工に適さないプラスチックも存在します。例えばチューブやパッキン、剥離材などの素材として用いられるPTFE(テフロン)。高温や薬品に対して非常に強いため、通常のプラスチック(樹脂)のように溶かして成型することができません。粉末状のPTFE原料を圧縮したものを切削するという方法をとります。
PTEFの切削加工製品
成型によって完成したプラスチック製品を、さらに細かく加工することを2次加工といいます。
NC加工とは、数値制御(NC)による機械加工のことです。
「1万個単位とまではいかなくとも、試作よりまとまった数がほしい」という場合、幅広い個数に短時間で対応できます。多軸機械ならば多数の丁取が可能。試作モデルのような個別製作では、完成品一つひとつのチェックが欠かせませんが、NC加工ならその必要がないため、製造管理がしやすいというのも特徴の一つ。
機械で加工する様子
加工にはさまざまな技術があります。ホットスタンプ、蒸着、ハードコート、アルマイト処理、スピン加工、金属加工、特殊印刷、レーザー過去、成型……これらを結集することによってあらゆる加工が可能となり、一つの製品に関する処理をワンストップで行うことができます。
切削加工は、プラスチックの無垢材から製品の形を削り出す工法。金型を必要としないため、スピーディでフレキシブルな製作が可能です。また、表面や端面を「削るだけ」で鏡面のように美しく仕上げることもできます。
カット面を光り輝かせる表面処理。
鏡面加工 加工前
鏡面加工 カット面
刃物に単結晶の石を用い、カットするだけで鏡面になります。通常のエンドミル加工のような自由な切削加工ができますので、磨きにくい形状のときに有効です。また、切削面がダレないので、シルエットが美しくなるという特長があります。現在、「ストレート面」「C面」の2種類があります。「C面」とは、角を45°の角度で面取りした面のことをいいます。
ストレート面
C面(45°)
研磨材とネル布で光沢を出す手法。回転するバフに研磨剤を塗り付け、そこに製品を押し付けます。熱によって光沢が生じます。
加工前(左)加工後(右)
プレーナーの刃の中に単結晶刃を仕込んで機械を通すだけで鏡面になる加工。
レーザービームでの切断。切断時に端面が溶けて、鏡面のように光ります。
レーザー加工例
レーザー加工例
彫刻とは、刃物やレーザーを使って、プラスチック面に文字や図柄を彫りつけることです。
「1カ所だけに彫りたい」「表面の絵や文字を消えないようにしたい」「絵や文字に立体感を出したい」といった場合に有効です。
彫刻には、彫刻機で直接削る方法、レーザー機で表面を溶かす方法があります。
スキャナーにより直筆もきれいに彫刻。金属などにも彫刻可能。ただし、彫刻機で彫刻する際には、文字や絵柄の角部分に、刃物の半径分のアールが付きます。
※書体は、彫刻用文字ソフトの入っている丸ゴシック体を基本としますが、ご希望の書体を作ることも可能です。
色板など、不透明な板に表面から彫刻します。当然透明なものでもOKです。
表彫り
透明な板に裏から彫刻します。表側はツルツルのままです。
裏彫り 表面
裏彫り 裏面
加工したものに後から印刷すると、加工時の位置合わせは不要ですが、印刷時の細かな位置合わせが必要となります。また、孔部や外周にインキが垂れ込むと、見栄えが悪くなったり、寸法が変わってしまったりするため、印刷の範囲を0.5mm程度控える必要があります。
反対に、先印刷、後加工という方法は、印刷と切削加工を一連の工程としてとらえます。つまり、切削加工を印刷に合わせるわけです。技術を要しますが、垂れ込みがないため、仕上がりが美しくなります。
製版し、その版を用いて印刷します。数量が多く、かつ精度と品質が要求されるときに有利です。プラスチック印刷では最も多く用いられる印刷方法です。
シルク印刷例1
シルク印刷例2
シルク印刷のように版を必要とせず、データのみで多色使いのグラデーションが表現できます。小ロット、多色の印刷でメリットがあります。
インクジェット例1
インクジェット例2
素材の表面に金属や酸化物などを蒸発させ、付着させる、多層膜のコーティングによる表面処理方法。美しく、キラキラ感があります。裏面の印刷の色によってさまざまな色合いを表現できます。サングラスやスマートフォンの裏面などに使われています。
蒸着例 サングラス
蒸着例 携帯電話部品
ホットスタンプ箔を利用して、専用の機械で加圧、加熱によって金属調の文字、絵柄などを転写する加工法で、焼印のようなイメージです。インキを使用しない乾式印刷の一種。全体的に転写するのではなく、部分的な表現に適しています。
シールの上にウレタン樹脂を盛り、表面張力を利用して加工します。透明樹脂により、ラベルが立体的に見え、高級感が増します。
ポッティング製品例1
ポッティング製品例2
対象部分がすりガラスとなって残る製法です。
サンドブラスト製品例
アクリルの色板を使えば、同じ加工物でもバリエーションが増やせます。成型加工の場合、少量生産ができないため、カラーバリエーションを増やすには、数量を増やす以外ありません(色のついたペレット(成型材料)を溶かして成型するため)。色板の場合、最初から色が付いた板を使うだけでカラーバリエーションを増やせます。
色板素材
色板を使った製品
そんなときには、簡易金型を使います。通常、成型するときは金型を作りますが、数万回の使用に耐えられるよう硬い金属で作ります。硬いため少しずつしか削れず、時間とコストがかかります。
簡易金型はアルミ製。柔らかいので削る量が多く、短時間で作れますが、一千回程度の使用です。時間優先、コスト優先、数量少の場合に適しています。
このようなプレミアムグッズもトータルで製作可能です。
記念品
販促物
アイデア商品