加工品に印刷・塗装をしたら、外側にインクが垂れてしまった。
プラスチック製品には、いろんな方法で印刷や加色が可能です。印刷は、「先加工・後印刷」「先印刷・後加工」といって、印刷を切削の先にするか後にするかで仕上がりが違ってきます。
加工したものに後から印刷すると、加工時の位置合わせは不要ですが、印刷時の細かな位置合わせが必要となります。また孔部や外周にインキが垂れ込むと、見栄えが悪くなったり、寸法が変わってしまったりします。
先印刷、後加工という方法なら、垂れ込みがないため、仕上がりが美しくなります。
●孔部や外周にインキが垂れ込まない
- すでに印刷済みの材料に加工を施すため、後印刷のデメリットである「孔部や外周へのインキ垂れ込み」が発生しません。
- 後印刷よりも見た目が美しく仕上がります。
- 後印刷なら垂れ込んだインキの厚みによって寸法が変わることがありますが、後加工ならその心配がなく、正確な寸法精度を確保できます。
●印刷の範囲に制限が生じない
後印刷の場合、「垂れ込み」を事前に防ぐため、印刷の範囲を0.5mm程度抑えなければなりませんが、後加工ならその必要がありません。

後印刷で印刷範囲が0.5mm小さくなっている例

先印刷後加工で目いっぱい印刷範囲を確保できている例
●印刷・華飾・塗装の種類と特徴一覧
シルク印刷
- 製版し、その版を用いて印刷します。
- 数量が多く、かつ精度と品質が要求されるときに有利。
- プラスチック印刷では最も多く用いられる印刷方法です。
シルク印刷例1
シルク印刷例2
インクジェット
- 上記のシルク印刷のように版を必要とせず、データのみで多色使いのグラデーションが表現できます。
- 小ロット、多色の印刷でメリットがあります。
インクジェット例1
インクジェット例2
蒸着
- 素材の表面に金属や酸化物などを蒸発させ、付着させる、多層膜のコーティングによる表面処理方法。
- 美しく、キラキラ感があります。
- 裏面の印刷の色によってさまざまな色合いを表現できます。
- サングラスやスマートフォンの裏面などの塗装に活躍しています。
蒸着例 サングラス
蒸着例 携帯電話部品
ホットスタンプ
- ホットスタンプ箔を利用して、専用の機械で加圧、加熱によって金属調の文字、絵柄などを転写する加工法。インキを使用しない乾式印刷の一種です。
- 全体的に転写するのではなく、部分的な表現に適しています。
ポッティング
- シールの上にウレタン樹脂を盛り、表面張力を利用して加工します。
- 透明樹脂により、ラベルが立体的に見え、高級感が増します。
ポッティング製品例1
ポッティング製品例2
サンドブラスト
対象部分がすりガラスとなって残る製法です。
サンドブラスト製品例